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光編:光をコントロールするテクニック②「電球は暖色系の白熱電灯にする」

体内時計を正常に保つ――つまり、メラトニンの分泌を阻害しないという観点から考えると、電球の色をひと工夫すると効果的です。
それには、寝る前はなるべく、眠りへ誘いやすい暖色系の明かりが灯る環境を整えます。可能であれば、寝室だけではなくリビング、浴室なども暖色系の明かりにすると良いでしょう。白色光には、身体が覚醒 の時間だと勘違いしてしまう可能性があり、その光にメラトニンが反応してしまいます。

もっと厳密にいえば、LEDライトは睡眠には向きません。暖色系のLEDの場合、その波長によって覚醒させられてしまうことも研究でわかっており、理想をいえば、暖色系の白熱電灯、究極はろうそくがベストです。
ろうそくの火は「f分の1ゆらぎ」というリラクゼーション効果のある波長を出すため、見ると寝つきやすくなるといわれています。安全面を考えると就寝中の手段としては無理がありますが、「お風呂に キャンドルを灯して入る」など、就寝前にそういった環境下ですごすことはとても効果的です。

ちなみに、私の自宅では、リモコンで光の色味を変えられるようにしています。ボタンひとつで白色系にもなるし、暖色系にもなる。その時間帯によって、ふさわしい色味に変えています。
寝室は光によってメラトニンの分泌を妨げたくないので電球は一切置いていません。

また、スマートフォンの光の強さやブルーライトは脳を覚醒させ、メラトニンの分泌を妨げてしまうので、寝る直前に見るのはNGです。

ここで光と睡眠に関するおもしろい研究をご紹介しましょう。
2015年に発表されたハーバード大学の研究によると、寝る前に発光するタブレットなどで読書をすると睡眠に関するさまざまな問題が引き起こされることがわかっています。
実験では、成人12名が5日間連続で夜に4時間、一般的な書籍と電子書籍での読書を行いました。その結果、一般的な書籍を読んでいた時は正常だったメラトニンの分泌は、電子書籍となると大幅に低下したのです。また翌日、電子書籍を読んでいた群は、メラトニンの分泌量が増加し始める時間が1時間半ほど遅れてしまい、サーカディアンリズムへの悪影響が見られたといいます。この実験結果が示すように、寝る直前に電子機器などから出る白色系の光は眠りに悪影響を及ぼします。
第2章でも、寝室で寝ることと関係ないことをするのは良くないという話をしましたが、光の観点から考えても就寝前はスマートフォンの画面を見ない習慣が大切です。

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(出典:『ハイパフォーマーの睡眠技術』小林孝徳 著/実業之日本社 刊/第3章『眠りをコントロールする方法』より抜粋、編集)

著者:小林孝徳
1987年生まれ。新潟大学理学部物理学科卒。素粒子物理学専攻。2013年12月にSleepTechベンチャー・株式会社ニューロスペースを設立。睡眠の悩みを根本的に解決すべく、大学や医療機関と連携し『法人向け 睡眠改善プログラム』を開発。吉野家やANA、DeNA、東急不動産ホールディングスなどの大企業を中心にこれまで約80社1万人以上のビジネスパーソンの睡眠問題を解決してきた。現代の人々がレストランで食事を楽しむのと同じように、三大欲求の1つである睡眠を、一人ひとりが睡眠をデザインし楽しめる世界の実現を目指している。睡眠改善ナイトウェア『eSleepy』の睡眠プログラム協力。

小林さん著書
「ハイパフォーマーの睡眠技術」より
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