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法則1 ベッドに入ってからの寝付きがよい
ここからは、2つの図を見比べながらその違いを紐解き、ハイパフォーマーの睡眠の法則を明確にしていきたいと思います。次の図6をご覧ください。
まず、 ①の部分に着目すると、Hはベッドに入ってから比較的すぐに眠れているのに対し、Nは、ベッドに入ってからしばらくの間寝ていないことがわかります。← →が示すベッドにいた時間と■が示す寝た時間に、Hはほとんど差が見られません。
お察しのとおり、ベッドに入ってからの寝つきが良いのがハイパフォーマーの眠りの特徴です。
寝つきの良さについて説明するにあたり、睡眠効率についてお話ししたいと思います。睡眠効率とは、ベッドに入ってからどれだけ効率よく眠れていたかを表す指標のことです。次の公式によって割り出すことができます。
(寝ていた時間)/(ベッドにいた時間)×100=睡眠効率(%)
このパーセンテージが高いほうが効率良く睡眠がとれたことになり、逆に低くなるほど睡眠効率が悪いことを示します。
たとえば、IT企業勤務の若手新卒社員のAさんが「今日は早めに寝よう」といつもより早い時間帯にベッドに入ったとしましょう。しかし、23時にベッドに入ったものの、眠りに落ちたのは午前1時。起床時間が6時だったとすると、睡眠効率は「5時間(寝ていた時間)/7時間(ベッドにいた時間)×100」となり、71.4%となります。
睡眠効率が 71.4%というのは、あまり良い結果とはいえません。睡眠効率の目安は85%以上になります。
さて、NとHの図に戻りましょう。①の部分を比べてみると、ハイパフォーマーのHの図は、ベッドに入るとすぐに寝ついているため睡眠効率が高いといえます。
対してNは、ベッドに入った後、30分以上も眠れておらず、途中で起きてしまっていることが見受けられます。このことから、Nの睡眠効率は低いといえます。また、朝起きてからなかなかベッドから出られないのも問題視すべき点です。
なぜ、Nはベッドに入ってからなかなか寝ついていないのか。それは、眠りに関係のないことをベッドで行っているからです。
ベッドがある寝室でスマートフォンやパソコンをいじる、読書をするなどの行為を習慣化してしまうと、脳は寝室を「遊ぶ部屋」「学習をする場」と認識します。脳は行為をセットで記憶するため、こういった行動を続けていると寝室を「眠る場所」として認識しなくなり、その結果、寝つきにくくなったり、眠りの質が悪化したりしてしまいます。
先ほどのAさんの場合も然り。睡眠研修でAさんに話を聞いたところ、いつもスマートフォンをいじって寝る時間が後ろ倒しになってしまっていたそうです。
さらに、彼が新入社員だったという点もポイント。新入社員は見ること、経験することすべてが新鮮です。処理しなければいけない情報が多く、そのための時間も必要です。また、ベッドに入っても明日のことで頭がいっぱいになり、あれこれ考えているうちはなかなか寝つけません。これは、新入社員だけではなく、管理職など会社の役職についている人にもありがちな現象です。
睡眠効率を上げるためには、寝室に眠りと関係ないものは持ち込まず、「ベッド=寝る場所」という記憶を脳に焼きつけること。そして、寝る前はできるだけネガティブな問題や複雑なことを考えすぎないことが大切です。
ちなみに、私は寝室を寝る場所だと脳に記憶させるために一切の電気を置いていません。もちろん、スマートフォンなども持ち込まず、寝るためだけの部屋として寝室を位置づけています。私のやり方は極端すぎるかもしれませんが、ベッドには眠りと関係ないものは持ち込まないことを徹底し、眠りに集中する空間をつくることをおすすめします。
プロローグでも少し触れましたが、寝つきが良すぎるのも問題です。ベッドに入ってから1分以内に眠ってしまうという状態は慢性的な睡眠不足の証拠です。すぐに寝られることはそんなに自慢できることではありません。
理想的な寝つき方は3分~10分かけてまどろみを感じ、徐々に入眠していくことです。
(出典:『ハイパフォーマーの睡眠技術』小林孝徳 著/実業之日本社 刊/第2章『ハイパフォーマーになるための睡眠技術』より抜粋、編集)
著者:小林孝徳
1987年生まれ。新潟大学理学部物理学科卒。素粒子物理学専攻。2013年12月にSleepTechベンチャー・株式会社ニューロスペースを設立。睡眠の悩みを根本的に解決すべく、大学や医療機関と連携し『法人向け 睡眠改善プログラム』を開発。吉野家やANA、DeNA、東急不動産ホールディングスなどの大企業を中心にこれまで約80社1万人以上のビジネスパーソンの睡眠問題を解決してきた。現代の人々がレストランで食事を楽しむのと同じように、三大欲求の1つである睡眠を、一人ひとりが睡眠をデザインし楽しめる世界の実現を目指している。睡眠改善ナイトウェア『eSleepy』の睡眠プログラム協力。
小林さん著書
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