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法則4 仮眠をフルに活用している

先のハイパフォーマーの定義でも少し触れましたが、私たちはサーカミディアンリズムによって自然と眠気を感じます。起きて光を浴びてから7~8時間後には、眠気が訪れます。また、睡眠圧の原理によって、起きている時間が長ければ長いほど眠気を感じやすくなることにも抗えません。
何度もいいますが、これらの眠気を感じることは、身体の異常ではなくむしろ正常なリズムを持っている証です。

ここで重要になってくるのは、日中に感じてしまうこの眠気をどう解消していくかということ。適切に対処していきましょう。

さて、次の2つの図の④の部分を見てみましょう。

Hの図からは、午後の時間帯に短時間睡眠をとっていることが読みとれます。これこそが、攻めの仮眠
――そう、ハイパフォーマーたちは、戦略的に仮眠を取り入れ、サーカミディアンリズムによって起こる眠気をうまくコントロールしているのです。

眠気を解消する方法として、多くの人はコーヒーなどカフェインを摂っています。しかし、それはただ 眠気を一時的にブロックしているにすぎません。
この対処法はドーピングのようなもので、根本的な眠気の解決にはなっていません。一定の時間をすぎ るとまた眠気が押し寄せて、再びパフォーマンスが低下してしまいます。
眠気の根本がしっかりと解消できないと、仕事中のヒューマンエラーになりかねません。無意識のうちにケアレスミスにつながることも考えられるため、仕事のパフォーマンスを本当に上げたいのであれば、「仮眠」が大切になってきます。

ここでハイパフォーマーであるDさんの事例を紹介しましょう。
外資系企業で忙しく働くDさんはある日、海外との取引の影響で深夜3時頃まで仕事をしなければならない状態になりました。こういったイレギュラーな状況は、正しい睡眠リズムを実践している人ほど、睡眠圧の観点から眠くなりやすくなります。
しかし、ハイパフォーマーであるDさんは「明日は遅くなりそうだ」とわかった時点で戦略的に仮眠を とり、深夜の仕事に備え始めます。
まず、16時に30分の仮眠をとり、さらに夜の20時にも30分の仮眠をとっています。このように深夜3時に向けて2~3回ほど仮眠をとることで先手を打つのです。

どんな仕事にも、繁忙期と呼ばれる忙しい時期があるでしょう。もちろん、徹夜は良くないことです。 でも、どうしようもないハードな時期、ハイパフォーマーたちは、睡眠の技術を駆使して乗り切っています。
あくまでも応急処置ですが、深夜3時までエンジンを掛け続けなければならないような場合、常に100%のパフォーマンスを出せるようにするよりは、70%くらいの一定のパフォーマンスを出し続ける働き方をすることが大切です。

戦略的な仮眠のおかげで集中力を出し切ったまま仕事を無事に終えたDさん。しかし、時刻は、深夜3時をまわってしまいました。
ここからがハイパフォーマーの睡眠コントロール術の本領発揮です。このような状況でも、起きる時間 を揃えたほうが明日以降の身体のためだと判断したDさんは、何よりもリズムを崩さないことを優先。仕事を終え、帰宅した深夜4時からいつもの起床時間である朝の6時まで眠りました。

2時間眠ってから出社したDさんは、日中強い眠気を感じるタイミングで仮眠をとり、容赦なく襲ってくる眠気をカバーしました。夕方15時以降は本睡眠へ向けて睡眠圧を溜めるため、仮眠はとりません。

その後19時に帰宅し、その日は21時と早めに就寝。後日、話を聞いてみると本睡眠では良い眠りがとれたそうです。
Dさんは、次の日以降の本睡眠に影響を与えては元も子もないという判断から、戦略的仮眠を選択しました。無事、次の日もいつもどおり起床した彼は、リズムを狂わせることなく、自ら適正な睡眠リズムを取り戻したのです。

Dさんの事例はかなりイレギュラーですが、仮眠の重要性がよくわかります。戦略的な仮眠のテクニックについては、第4章で詳しくお話ししたいと思いますが、ハイパフォーマーなビジネスパーソンはこのように睡眠の技術を駆使し、ハードなスケジュールをこなしているのです。

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(出典:『ハイパフォーマーの睡眠技術』小林孝徳 著/実業之日本社 刊/第2章『ハイパフォーマーになるための睡眠技術』より抜粋、編集)

著者:小林孝徳
1987年生まれ。新潟大学理学部物理学科卒。素粒子物理学専攻。2013年12月にSleepTechベンチャー・株式会社ニューロスペースを設立。睡眠の悩みを根本的に解決すべく、大学や医療機関と連携し『法人向け 睡眠改善プログラム』を開発。吉野家やANA、DeNA、東急不動産ホールディングスなどの大企業を中心にこれまで約80社1万人以上のビジネスパーソンの睡眠問題を解決してきた。現代の人々がレストランで食事を楽しむのと同じように、三大欲求の1つである睡眠を、一人ひとりが睡眠をデザインし楽しめる世界の実現を目指している。睡眠改善ナイトウェア『eSleepy』の睡眠プログラム協力。

小林さん著書
「ハイパフォーマーの睡眠技術」より
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